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シンポジウム 「コモンズ 豊かさのために分かちあう」レポート

はじめまして!

最近もやいネットに加わりました「きじばと」と申します。

1月25日(金)、人間文化研究機構と地球研共催のシンポジウム、

コモンズ 豊かさのために分かちあう

が開催されました。

この催しでは、

もやいネットの阿部健一・総合地球環境学研究所教授が、

コーディネーターを務められました。

また、同じくもやいネット会員の

島上宗子・一般社団法人あいあいネット副代表理事が、

講演とパネルディスカッションに登壇されました。

当日、聴講しました私きじばとが、レポートを書かせていただきますので、

以下、お付き合いくださいませ。

*********************************************************************

講演に先立ち、阿部教授による趣旨説明がありました。

「『コモンズ』という単語は、『コモンズの悲劇』として最も知られているが、

そこにこそ『コモンズ』の悲劇があると言えます・・・」の解説は、

「つかみはオッケー」な感じで、素晴らしかったです

豊かさを分かちあう、または、分かちあうことで豊かになる

との言葉も。

今振り返ると、ここで言われた「豊か(さ)」って、

必ずしも同一の概念だけに限定されるものではなく、

多様に広がりうるものなのですね。

例えば前者は、

物質的/精神的豊かさを何らかのdeviceでシェアすること」を、

後者は、

一緒に現実に汗をかくことで、精神的に豊かな土壌を育むこと」を、

含んでいる。      

私はそう理解しました。


 最初の講演は、金子郁容・慶應義塾大学教授の、

「コミュニティ・ソリューション~新しい形のつながりが動くとき」と題する講演でした。

冒頭、「こんにちは!」の言葉とともに出てこられた金子先生、

聴講席側のまばらな返答に対し、「元気がない~」とまさかの登場やり直し!

懐かしの「8時だよ!全員集合」のいかりや長介を彷彿させる立ち回りでした。

・・・いや、今振り返るにあれは、

演壇の上下を分かつ壁を、

――コモンズの議論をそれこそ「コモン」すべく――

打ち破る試みだったに違いないのです。

東日本大震災被災地での、

多様な主体がかかわり運営される教育実践の説明では、

「教育は、そもそも行政だけでやるものではない」の提議が。

親としても、また学校事務室での勤務経験からも、

素直に頷ける言葉でした。


 続いて、島上さんの

「国境を越えてつながる:「いりあい・よりあい・まなびあい」の試み」の講演。

印象に残ったのは、

インドネシアの村からの訪問団が、日本のある村を訪れた際、

その村で入会地をずっと守っている男性がインドネシアの男性を見るなり語った、

おまえさんがどんな暮らしをしているか、仕事をしているか、

聞かんでもわかる・・・
」の言葉

そしてその時親しげに両手を握りあうお二人の写真でした。

仮に、大都市のオフィスビルで働くビジネスマン同士が出会ったとして、

不思議な直感でわかり合い、親しく体に触れ合うなど起こりえない気がしますが、

「なら、それが起こるようなつながりとは?」という思索も立ち上がってきます。

あるいは、三砂ちづる津田塾大教授の『タッチハンガー』

(ふれ合いに飢える人、の意でしょうか)という著作の表題が

記憶の澱に漂っていたのが、不意に浮かび上がってきたりもします。

良い意味で隙間のある、

受け手側で膨らませていける講演だったと思います。


 3番目は、椎川忍・総務省地域力創造・緑の分権改革アドバイザーの、

「分権時代のいま、コモンズの価値が見直されるとき」と題された講演でした。

椎川さんは、経歴を見るといわゆる「現代日本を築いてこられた中心エリート

(昨秋に退官)」に間違いないと思われますが、

「八百万の神」の概念などは

梅原猛先生や安田喜憲先生の著作・思想からのご影響でしょうか、

いわゆる官僚的な観念から相当踏み込んで、

自然やいのちを価値の中心に据えることへの大転換を企図されている!

という印象が鮮烈に残りました。

きじばと個人も、既存の宗教に傾倒してはいないものの、

「自然や宇宙が神」という考えを深めてきた人間(鳩かな?)の一人として、

響くものがありました。


 最後に、赤坂憲雄・学習院大学教授・福島県立博物館館長が

「あらたな入会の思想を求めて」と題して講演されました。

「潟に戻す」

つまり、東日本大震災後に泥の海に戻った東北沿岸地域の、

以前まで農地だった場所については、

震災前同様に田畑に戻す「復興」にどれだけの意味があるのか?

いっそ――かつてそうだったように――入会地として、

例えば自然エネルギー発電施設を建て、そこで生じる利益を共有し、

違う形で復興に資せないだろうか、という概念を述べられました。

内容そのものは、

例えば著書『辺境からはじまる 東京/東北論(明石書店)』中の

小熊英二慶応大教授との対談などで読んでいた内容で、

その場でガツンと知的衝撃を受ける、という感じではなかったのですが、

「・・・と言う言葉の周辺で、すでに始まっている」などの言い回しに、

おおっ語り口が文章と一緒だあ~と、静かに興奮しつつ聞いていました。


 パネルディスカッションでは、阿部教授が進行役、

金子教授・島上さん・赤坂教授がパネリストとして登壇され、

会場からの質問に答えていく方式で進みました。

金子教授の言葉では、

企業(巨大企業も小さな集まりも)を含め、各自が、各地で、

コモンズを求め具体的に動くことが大事であって、

ただ放っておいても熱は高まらない、と述べていたのが印象に残りました。

島上さんは、

「コモンズ」や"resource management" の辞書的意味への違和感について述べ、

「管理」や「所有」また「権利」と理解し発語するとき、

抜け落ちていくものヘの警告を発されました。

「共生」と言う言葉もあるが、

例えばそれはインドネシア村落では、今生きている人に限られていない、

祖先や子孫をもメンバーに含んでいるのだ、とも。

それを受けて赤坂教授も、

「もっと言えば、人間だけでもない、

南相馬の鹿踊りを記録する石碑には、

『生きとし生けるもの全てのために踊る』 という、

奉納の辞が刻まれているのです」と述べていました。


 講演を聴講した一人ひとりが、

コモンズを「今ここ」でどう思考や行動に取り込み、

世の中を変えていけるのかが問われるところです。

私個人としましては、生活の中での実践として、

春が来たら現在住む共同住宅にて、

「隣人祭り」を企画しようと密かに企んでいたりします

最後になりましたが、

阿部教授、島上さん、本当にお疲れさまでした!!

自分にとって、沢山の善いものをいただくことのできた時間となりました。

どうもありがとうございました。

きじばとでした☆
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